黒いジュータン(蛙の大群)

一年生が入学してきて、桜の花びらがひらひらと落ち始めると、新しい芽吹きの音や、土の中からごそごそと動く音がする。
池の中のコイたちも元気に泳ぎだす。

そんなある日、子どもたちの昇降口の前あたりに、真っ黒なジュウタン、横切ることもできないほどびっしりと。
「いったいこれはなんだろう。」小さくかがんで見てみると、ピョンピョン動いているではないか。
何とこれは、黒くて小さなカエルたち。
みんな同じ方向に行進して行列になっている。

「ちょっと、そこどいてちょうだい。」と言ったところ、わかるはずないが、「列が乱れるからだめ。」とでも言っているように後をたたない。
ちょっと奇妙な光景だ。

そういえば、あの池に所せましとなん十匹ものカエルが集まり、次々に交尾をし、ホースのようにつながった卵を産みつけ、いつのまにかいなくなった。
この卵がかえったら、いつか真っ黒なジュータンをみかけることでしょう。

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